基地問題と女性の人権

 アメリカ兵からレイプを受けたサバイバーのお話を大阪外国語大学で聴く機会がありました。これは「アジア現代女性史研究会(代表藤目ゆき)」や女性学との共催で、「基地問題と女性の人権-沖縄からの発言-」と題した公開講演会でした。学生以外にも門戸が開かれていたので、聴講させていただいたものです。
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 1984年、当時17歳だった富田由実(仮名)さんは、学校帰りにアメリカ兵から「I can kill you」とナイフをつきつけられ、公園で3人のアメリカ兵から屈辱的な暴行を受けました。「殺すぞ」ではなく「殺せるぞ」と彼らは言ったのです。ものすごい恐怖を受けて、解放された後も何度も彼女は自殺未遂を繰り返しました。不眠症や自立神経失調症に苦しみながら、でも警察に訴えることはしませんでした。訴えることにってさらに受ける二次被害と社会からの偏見を恐れたからです。暴行を受けたのは自分が悪かったのではないかと自分自身を責めたり、自暴自棄になったり、フラッシュバックに襲われたり、本土と沖縄を行ったり来たりと苦しい生活を続けていました。
ところが、1995年9月、またもや沖縄で小学生の少女への暴行事件が起こりました。富田さんはこの事件を知り、自分が被害を受けた時よりも嘆き悲しみ、苦しみました。そして今まで何も行動を起こしてこなかった自分自身を又もや責め続けました。そしてこれ以上、被害者を出さないためにと、反戦運動に関わるようになりました。
沖縄は「基地に対する被害者」という側面を持っているけれど、一方で、基地があるということで、アメリカが今まで起こしてきた戦争を担わされた加害者でもある。だからこそ、自分たちの責任を痛感し、反省の意味を込めて沖縄から自衛隊を含めた基地を無くして本当の「平和の発信地」にすることが大切だ、とのメッセージを私たちに届けてくれました。