相談体制の確立

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大阪府立高津高校の教職員10人が、府初の民間人元校長からパワー・ハラスメントなどを受けたとして、大阪弁護士会に人権救済を申し立てていました。
同会は府教育委員会に対して、苦情に対応できる相談体制の確立を求める勧告書を昨年12月26日に出しました。(1月14日報道)

同会では次のように勧告しています。
「元校長は『私の気にくわないことを言うなら、今すぐ異動希望を出せ』と怒鳴ったり、教諭に筆立てをなげつけたり、学年主任を指導する際に、机上のガラスをたたくなどのパワー・ハラスメントによって、教職員に精神的苦痛を与えた。さらには、府教委は、教職員から相談を受け問題を認識しながらも対策を講じることなく放置していた。教職員や児童生徒の苦情に対応できる相談体制の確立や第三者機関を設置し、人権侵害の発生を防止する体制を確立すべきである」

さて、皆さんの事業所のセクシュアルハラスメントの相談窓口は適正に機能しているでしょうか。
セクシュアルハラスメントやパワー・ハラスメントを受けたり、見聞きした時に、安心して相談ができる体制になっているでしょうか。

男女雇用機会均等法が2007年4月に改正されてから、セクシュアルハラスメントに対する対応は事業主の措置義務となりました。
それを受けて、多くの事業所で相談窓口が設置されてきました。が、そこで相談を受ける相談員の研修が追い付かず、「相談を受ける自信がない」という相談員の悩みをよく耳にします。
同時に、それは「安心して相談ができない」という従業員の悩みでもあるわけです。

相談員にはセクシュアルハラスメントの正しい知識はもちろんのこと、「傾聴」を初めとする「相談を受ける」ための専門的なスキルが必要です。
それらは「相談員研修」を1回受けただけで、身に付くものではありません。継続的な学習とトレーニングが必要です。

皆さんの事業所でも、従業員・管理職に対するセクシュアルハラスメント研修だけでなく、ぜひとも相談員研修にもきちんと取り組んでいく体制を整えていただきたいと思います。
「当社では、セクシュアルハラスメントの相談が1件もないのです」と、担当者が誇らしげにおっしゃる時があります。でも、「相談がない イコール セクシュアルハラスメントがない」というわけでは決してないのです。
それは「安心して相談ができる窓口」と従業員が感じていないのかもしれないのですから。

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