女性自衛官のセクハラ訴訟、国(自衛隊)に三点の配慮義務違反

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先日、「女性自衛官の人権裁判」の勝利報告集会に参加しました。
北海道の航空自衛隊に勤務していた20代の女性が、基地内で男性隊員からセクハラ(性的暴力)を受け、上司に訴え出た後、上司や隊から組織ぐるみでさらにひどいパワハラや陰湿ないじめ、退職強要などを受けたとして、国に損害賠償を求めていたものです。
7月29日の札幌地裁の判決で、橋詰均裁判長は男性隊員のセクハラに対する個人的な不法行為(慰藉料200万円)だけでなく、その後の事後対応が不適切であったとして国(自衛隊)に配慮義務違反(慰藉料300万円)を認定しました。
国(自衛隊)の配慮義務として具体的な判断基準を示したことは、とても画期的な判決だと考えます。
配慮義務の具体的なポイントは三点。
(1)被害配慮義務-被害者が心身の被害を回復できるよう配慮すべき義務
(2)環境調整義務-加害行為によって被害者の勤務環境が不快となっている状態を改善する義務
(3)不利益防止義務-被害者が職場の厄介者として疎んじられ、さまざまな不利益を受ける事を防止すべき義務

さらには、被害者が訴えた内容を変遷していったことに対しては「男性上司が被害者から事情聴取をしたために、冷静に思い出したり説明をすることができなかった可能性が高い」等と性被害者の心理を深く洞察した事実認定をしています。
この点でも今後の裁判にも大きな影響を与える重要な判決だと思います。
職場で、セクハラやパワハラを起こさせないようにするのが一番大切なのは言うまでもありません。
しかし、万一起こってしまったらその後どのように迅速に対応するのかが非常に重要です。

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