「行為者への処分は無効」という判決

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ハラスメントの行為者の処分に関して、大変重要な判決が出されました。
1つ目は京都市に対する判決です。
複数の女性職員へのセクハラ発言やタクシーチケットの不正流用などがあったとして、京都市は男性職員を懲戒免職としました。
ところが、男性職員がこの処分を不服として京都市に対して、処分取り消しを求めて提訴。一審の京都地裁は、処分は妥当との判決。
男性職員は不服として控訴、二審の大阪高裁は、懲戒免職は重すぎるとして、処分を取り消す判決を出しました。(大阪高裁/2010年8月26日)(京都市が上告)

2つ目は京都教育大学に対する判決です。
女子学生に対して、集団での性的暴行があったとして、京都教育大学は6人の男子学生を無期停学の処分としました。
このうち、4人の男子学生が、この処分を不服として大学に対して、処分取り消しを求めて提訴、京都地裁は、処分は無効との判決を出しました。(京都地裁/2011年7月15日)(京都教育大学が控訴)

私は、どちらも納得のいかない判決であると思います。
しかし、ここで大事な点は、どちらの判決も行為者に十分な弁明の機会が与えられなかった、と判断している点です。
ハラスメントの対応においては、行為者へのヒアリングや処分を決定するときのプロセスが大変重要であるということです。

ハラスメントが起こったとき一番大切なことは、まずは被害者の心身の保護です。
加えて、行為者への対応も非常に重要となります。
被害者をサポートしている人とは、別の人が行為者を担当することが必要です。
ハラスメントへの対応は、迅速さが重要ですが、行為者と被害者の主張は食い違うことも多く、ヒアリングでは慎重な対応が要求されます。
適切に対応できる体制を日頃から整備しておくことが重要だといえるでしょう。

ハラスメントへの対応は、想像以上に多大な労力を要します。
だからこそ、一番大切なのが、日頃からハラスメントを起こさせない「防止」に努めることは言うまでもありません。

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