「国によるハラスメント」 強制隔離・強制堕胎

111009blog
玉城しげさんのお話しを、兵庫県の尼崎市内でお聴きしました。
玉城さんは93歳、ハンセン病の元患者で、鹿児島県の国立療養所星塚敬愛園で暮らしています。
20歳の時に突然、療養所に強制的に隔離されました。

そこは、療養所とは名ばかりで、玉城さんたちは「座敷豚」と呼ばれ、ほとんど治療も受けることなく重労働を強いられ、病状はますます悪化。
しきりもカーテンも何もない12畳の部屋で、夫婦4組が共に暮らす異様な生活。
子どもを産むことは許されず、男性は断種手術、女性は強制堕胎。
療養所での生活は信じられないような、本当に酷い非人間的なものでした。

玉城さんは、妊娠7か月で強制堕胎をさせられました。数日後対面した我が子は、瓶の中でホルマリンに漬けられていたのです。
車椅子から立ち上がり、振り絞るように話される玉城さんの声には、怒りと悲しみが込められていました。
こんな酷いことが、国の政策として合法的に歴然と行われてきていたのです。まさに「国によるハラスメント」ともいえるでしょう。
治療ではなく、「終生絶対隔離(絶滅政策)」という政策の根拠となる「らい予防法」が廃止されたのは、わずか数年前、1996年のことです。
法律の廃止後も、差別や偏見によって、元患者の方たちは様々な迫害を受けています。

差別や偏見を生み出してきた根底にあるのが、法律であり、国策だったということを私たちは今こそしっかりと考えなければならないと思います。
決して過去の話ではないのです。