全ての労働者を、あらゆるパワハラから守る組織を

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厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」は「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ」を3月15日(木)に公表しました。
2月4日の三木のブログでお伝えした内容に、参集者(委員)のメッセージが追加されたもので、ほとんど変更はありません。

今回、国が一定の定義と防止対策を示したことは、遅まきながらも若干の前進とはいえるでしょう。
しかし私は、この提言にはまだ多くの課題があると思います。

主には以下の4点です。
1、あいまいな定義
パワハラにあたるかどうかは職場によって異なる場合もあり、各職場で話し合い、認識を共有すべきである、とあいまいな定義になっています。本来、指導とは「相手の能力を引き出すこと」でああり、恐怖心を与えて相手の「人格を否定する言動」はパワハラである、と定義するべきではないでしょうか。
そして上司が部下に対して職場の実態に応じた適正な指導ができるように、しっかりと研修を積み重ねていくことも必要だと思います。
2、組織外からのパワハラ
定義には、パワハラの行為者が同じ職場の人ではない場合も含む必要があります。
取引先、関連企業、乗客、利用者、患者等から不当な要求や嫌がらせを受けたとの相談が、アトリエエムにも数多く寄せられています。
3、非正規労働者へのパワハラ
派遣社員等の直接雇用ではない労働者が受けるパワハラに対して、どの組織が対応するのか-派遣先なのか、派遣元なのか、両者なのか-という責任の所在が非常に不明確だと思います。
4、行政の責任
労働局や都道府県の相談やあっせん制度を充実させて、パワハラを放置している事業所への指導等を強化することも必要でしょう。
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パワハラの防止を進めるうえで一番重要なことは、「自分たちの組織の全ての労働者をあらゆるパワハラから守る」という意識を組織のトップが持つ事ではないでしょうか。
全ての労働者が安心して働ける職場環境をつくるためにガイドラインを各職場で早急に制定すると同時に、意識を高めるために、研修を繰り返し行うことも重要だと思います。
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