「渡る人ー星降る島からの報告ー」
ハンセン病問題をテーマに劇団名古屋が公演

先日、名古屋市に演劇の公演を観にいきました。
2時間30分という時間を全く感じさせない、とても素晴らしい内容でした。

「劇団名古屋」の創立65周年記念公演第一弾「渡る人ー星降る島からの報告ー」です。

ハンセン病の国立療養所「長島愛生園」をモデルに、そこで暮らす方達の群像劇です。
当然ながら、そこには私たちと同じように笑いあり、涙ありの悲喜こもごもの生活と人生があります。
でも、そこは病気を治すための「療養所」にも関わらず、患者作業があり、重病者のお世話があり、監房があり、断種・堕胎があり、改名をさせられ、解剖室があり、納骨堂まであるのです。

70年にわたる入所者の方たちの日々の生活と共に、国が犯した大きな人権侵害ー強制隔離政策や無らい県運動を入所者の目線から描いた物語りです。

「劇団名古屋」は、以前に「空白のカルテ」という医師 小笠原登を描いた演劇を公演していました。
それを知った映画製作委員会の高橋一郎監督と鵜久森典妙プロデューサーが映画「一人になる」の撮影をする時に、ぜひ協力・出演をしてほしいとお願いをしたのです。
「ハンセン病のことを正しく理解している人達にぜひ演じてほしい」と名古屋の喫茶店で劇団名古屋の代表・谷川伸彦さんにお願いした、ということを、谷川さんからお聞きしました。

劇団名古屋の皆さんには、高橋さん、鵜久森さんの追悼展やDVD「『どっこいショ』と時代を映(み)る」の製作にあたり、多くのご協力をいただきました。

「空白のカルテ」と「一人になる」で小笠原登役を演じた深山義夫さんは、2022年3月に残念ながらご病気のため逝去されました。

深山さん、鵜久森さん、高橋さんの3人は星降る空から、きっと感慨深げに公演を観ていたことでしょう。

「票ハラ」防止条例
福岡県で可決・成立

2022年6月22日に公示された参議院選挙。
今回は、181人の女性が立候補し、全候補者数(545人)に占める女性の割合が33.2%となり、過去最高を記録しました。

しかし、国が2020年に閣議決定した「男女共同参画基本計画」で設定した「2025年までに国政選挙の候補者に占める女性割合を35%」とする数値には届きませんでした。
しかも、政党によって大きなバラつきがあり、共産党は55・2%、立憲民主党は51・0%、社民党は41・7%に対して、自民党は23・2%、公明党は20・8%でした。

さらに、女性候補者を悩ませているのが(女性だけではありませんが)「票ハラ」とも呼ばれている有権者や他の議員からのハラスメントです。

国の調査によると、選挙への立候補を検討したが断念した994人(男性500人、女性494人)のうち、全体の61.8%が有権者や支持者、または議員から「何らかのハラスメントを受けた」と回答しています。
地方議員5,513人(男性3,234人、女性2,164人)を対象にした調査でも、全体の42.3%がハラスメントの被害があったと答えています。
男性(32.5%)よりも女性(57.6%)の方が比率が高く、女性が被害に遭いやすいのが実態です。

内閣府男女共同参画局は、「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」(動画)を2022年4月にHPにアップして、実際の事例を交えて啓発を行っています。

また、福岡県では「議会関係ハラスメントを根絶するための条例」が6月21日に可決・成立しました。
来年2023年4月からの施行です。
被害を受けた時に、相談ができる窓口の設置や調査などが盛り込まれています。
窓口では、県議会議員だけでなく、その秘書や家族、それに、有権者からの「票ハラスメント」などを受けた候補者や、県内の市町村議会の議員からの相談にも応じるとなっています。
これは都道府県では初めての条例となりました。

福岡県の条例が実効あるものとなり、今後さらに多くの自治体が続くことを願っています。

もちろん、私達一人ひとりが「票ハラ」の行為者(加害者)とならないようにしなければならないのは言うまでもありません。

フリーランスへのセクハラ、パワハラ
会社に「安全配慮義務違反」の判決

東京地裁は、5月25日にフリーランスの女性に対するセクハラ、パワハラに対して、会社に対して「安全配慮義務違反」として慰謝料の支払いを命じました。

2019年6月に公布された「労働施策総合推進法」等では、フリーランスや就活中の学生に対するセクハラの防止が事業主の措置義務とはなりませんでした。
しかし、会社の安全配慮義務違反を認めたという点では、非常に画期的といえるでしょう。

2019年の調査では、フリーランスで働く人たちのうち、約6割がパワハラ、約4割がセクハラを受けているという実態も明らかになりました。
フリーランスというとデザイナーやライター、講師、俳優など特殊な仕事をイメージするかもしれませんが、会社に勤めながら、副業としてフリーランス(非雇用)で働く人も今増えています。
被害にあっても、誰にも相談できず、苦しんでいる人が多いのです。

どのような就業形態で働いているかにかかわりなく全ての働く人へのハラスメント防止、被害者への救済に対する法整備を早急に行う必要があると思います。

「どっこいショ」と時代を映(み)る

2021年に他界した映画プロデューサー・鵜久森典妙さん、監督・高橋一郎さんの追悼展が5月に神戸・平野で開かれます。
お2人の軌跡を紹介した記事が3月28日(月)の神戸新聞1面の「正平調」に掲載されました。

3/28の神戸新聞はこちら>>

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鵜久森典妙・高橋一郎 追悼「どっこいショ」と時代を映(み)る

2021年に逝去した鵜久森典妙・高橋一郎の追悼展を開催いたします。
2人と映画製作委員会の思い出話に花を咲かせていただけたら嬉しいです。

「映画製作委員会」は、1984年に 鵜久森典妙、保木政男、高橋一郎の3人で神戸を中心とした自主製作グループとして生まれました。
第一作目は、核廃棄物を題材にした「24000年の方舟」。
その後「もういいかい ~ハンセン病と三つの法律~」を初め、多数のドキュメンタリー映画を製作。
それらは数多くのメディアで紹介され、国内外で高い評価を得てきました。
作品の根底には常に「命・人権・環境」という大事なテーマがあり、それを多くの人に届け、一緒に考えていきたいと願っていました。

◆日時
2022年5月2日(月)~5月14日(土)(無料、予約不要)
11:00~18:00(最終日は15:00まで)
◆会場
いちばぎゃらりぃ侑香(ゆか)
TEL 078-361-5055(11:00~17:00)
〒652-0006
兵庫県神戸市兵庫区神田町38-22
JR三ノ宮駅より神戸市バス7系統乗車
JR神戸駅より7,9,110系統乗車
平野バス停下車(バス道東へ100m)
◆上映会・活弁ライブ
2022年5月8日(日)
参加費 1,000円(定員15人、要予約)
13:00 DVD「どっこいショと時代を映(み)る」(約30分)
13:30 2人を偲んでトーク 伊良子 序さん(元神戸新聞社記者)
13:45 活弁ライブ「キートンの探偵学入門」(予定・約50分)
活動写真弁士 大森 くみこさん
▼大森くみこ公式サイト

追悼展のチラシはこちら>>

Gender Equality
国際女性デー

3月8日は国際女性デーです。

ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの実現をめざして、世界中で声を上げ、アクションを起こす重要な日です。

その日の前後に行われた2つのオンラインセミナーに参加しました。
●サヘル・ローズさんの講演「出会いこそ、生きる力」(国連ウィメン協会主催)

●「失敗しないためのジェンダー表現ー現役記者と考える」(日本新聞労働組合連合)

どちらもとても素晴らしい内容でした。
ただ、対面の講演会とは違って、会場との連帯感も作れなかったのが、コロナ禍とは言え残念でした。
遠方でも参加ができたということが、数少ないメリットのひとつかもしれませんが。

17の目標が定められているSDGsの目標5は、Gender Equality(ジェンダー平等を実現しよう)です。

今の日本の現状を見ていると、2030年までにどの位達成できるのかと暗たんたる気持ちになりますが、色々な人が声をあげ、そして行動を起こしている姿に日々勇気をもらっています。

三木も歩みを止めずに、しっかりと前進していきたいと思います。

そして今、一番懸念し、怒りを感じているのがロシアのウクライナ侵攻です。
多くの女性と子ども達が被害を受けています。
暴力では、人の心は縛れません。
さらなる暴力と憎しみの連鎖を生み続けていくだけです。

一日も早いロシアの撤退を強く望みます。

神戸・平野で活動弁士 井上陽一
一周忌特別上映会

神戸・平野のいちばぎゃらりぃ侑香では、2か月に1度「ゆかりんシネマ」として映画の上映会を開催しています。
46回目を迎える2月のゆかりんシネマは、2021年2月9日に他界した活動弁士 井上陽一の一周忌特別上映会が開催されます。
映像に井上陽一弁士の七五調の語りと音楽が入った映画です。
井上陽一弁士を偲びつつ、豪華二本立てで映画をお楽しみください。

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第46回 ゆかりんシネマ 今を語ろう
『血煙り高田の馬場』
『番場の忠太郎 瞼の母』

◆日時 2021年2月6日(日)
 ①10:30~ ②13:30~
◆会場 いちばぎゃらりぃ侑香
 兵庫県神戸市兵庫区神田町38-22
◆申込 TEL 078-361-5055(11:00~17:00)
 要電話予約(各回先着15人)
◆参加費 500円
◆アクセス
 三ノ宮駅より神戸市バス7系統乗車
 JR神戸駅より7、9、110系統乗車 
 平野バス停下車(東へ100mのところ)

チラシはこちら>>>

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルスの影響で働き方や生活が変化する中、コロナハラスメントやテレワークハラスメントなどのご相談が増えています。
アトリエエムはハラスメントのない社会をめざして今年も頑張ります。
本年もよろしくお願いいたします。

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昨年も残念ながら映画館にはあまり行くことができませんでした。
でも自宅でDVDで観た古い映画にも、現代の社会状況にも通じるいい作品がたくさんあることも、改めて再認識することができました。

特に印象に残ったのは下記です。

「娘は戦場で生まれた」
監督:ワアド・アルカティーブ、エドワード・ワッツ/イギリス・シリア合作/2019年

「ライフ・イズ・ビューティフル」
監督:ロベルト・ベニーニ/イタリア/1997年

「SNS -少女たちの10日間-」
監督:バルボラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク/チェコ/2020年

「真昼の暗黒」
監督:今井正/日本/1956年

「一人になる 医師 小笠原登とハンセン病強制隔離政策」
監督:高橋一郎/日本/2021年

<<美術展>>
「バンクシー展 天才か反逆者か」

大阪南港ATC Galleryにて

映画製作委員会

2021年もあと数時間となりました。
今年は昨年に引き続いてのコロナ禍で、皆さんにとっても大変な1年となったのではないでしょうか。

三木にとっても公私ともに辛い1年となりました。

アトリエムにとって、大切なビジネスパートナーである映画製作委員会の監督・高橋一郎さんとプロデューサー・鵜久森典妙さんが相次いで亡くなりました。

晩年お2人が取り組んでおられたのが「ハンセン病問題」です。
残念ながら今なお解決しておらず、回復者の方やご家族の方に対して偏見・差別が続いています。
「国家的ハラスメント」ともいえる「ハンセン病強制隔離政策」「無らい県運動」が人々の記憶に根強く残っているからです。
それを払拭し、正しく伝えるような教育も啓発・啓蒙も十分には行われていないからだと思います。

映画製作委員会が製作した「もういいかい~ハンセン病と三つの法律~」「ハンセン病回復者からのメッセージ」を初めとする作品の普及・販売をアトリエエムが受託することとなりました。

今後ともよろしくお願いいたします。
そして、コロナ禍が1日も早く収束して、皆が安心して暮らせますようにと心から願っています。

映画作品の紹介並びに映画製作委員会のHPはこちら>>>

オンライン(オンデマンド)で配信
「ハラスメント規制法後の対応と防止対策」

経済産業省 中小企業庁のHP(YouTube)に三木啓子のセミナー(約60分)がアップされています。
タイトルは「ハラスメント規制法後の対応と防止対策」。
対応と防止について、大事なポイントをコンパクトにお伝えしています。
レジュメ等は(公財)人権教育啓発推進センターのHPの「2各論(1)ハラスメント」からダウンロードできます。

公開期間は、来年2月15日まで。
ぜひご覧ください。

経済産業省 中小企業庁のHP
https://www.youtube.com/watch?v=adwwvdjUgcM

人権教育啓発推進センターのHP
https://www.jinken-library.jp/news/detail/96806/