精神労災基準にパワハラを追加

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厚生労働省は3月19日、仕事を原因とするうつ病などの精神疾患や自殺の労災認定基準を10年ぶりに見直すことを決めました。
ストレスの強さを客観的に評価する「心理的負荷評価表」の項目を31から43に増やし、最も強いストレスの例としてパワー・ハラスメントを新たに追加しています。

この評価表は、各項目毎にストレスの負荷を3段階で判定しているものです。(1が軽度、2が中度、3が強度)
ハラスメントなどの対人関係のトラブルにおいては、具体的には、現行では「セクシュアルハラスメントを受けた」「上司とのトラブルがあった」が2、「部下とのトラブルがあった」「同僚とのトラブルがあった」が1となっています。
これを「部下とのトラブルがあった」を2に変更、さらに追加項目として「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」を3としています。
まさしくこれがパワー・ハラスメントにあたります。他にも「違法行為を強要された(2)」「複数名で担当していた業務を一人で担当するようになった(2)」等が新たに追加となっています。

2007年の秋に、上司からパワー・ハラスメントを受けて、うつ病になり自殺をした事が「労災」である、との判決が裁判所で相次いで出されました。
それを受けて、2008年2月には厚生労働省が通達を出しています。そこには「ひどいいじめと認められる場合は、心理的負荷の強度が3に該当するものである」と明記されています。
その後、2008年12月から心理的負荷評価表を見直す検討会を3回にわたって開催、検証・検討を行った結果、今回の見直しとなったわけです。

今回の見直しにおいても、評価する出来事を発症前6か月に限定している点は変更されないなど、不十分な点はまだまだありますが、現行よりは一歩すすんだ内容になっているとは思います。
ただ、一番大切なこと、それはいくら「労災」と認定されたとしても、失われた命はもう戻ってはこない、という事です。
職場で決してパワー・ハラスメントを起こさせない、そしてもし発生してしまった場合には、迅速で適切な対応が求められる、というのは言うまでもありません。
未然の予防として、ぜひアトリエエムのパワー・ハラスメントセミナーやDVDをご活用いただきたいと思います。

なお、新評価表は、近日中に厚生労働省のHPにもアップされるそうです。また、FAXで送ってもらうこともできます。
現行の評価表がアップされている厚生労働省のサイトはこちら>>
この件を報じているサイトはこちら
asahi.com>>
mainichi.jp>>
nikkei.net>>