部下からの中傷での自殺は労災

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部下からの中傷が原因で自殺をしたことを「労災」だと認めた判決が出されました。
5月20日、東京地裁での判決です。自殺をしたのは小田急電鉄子会社の飲食店経営会社「小田急レストランシステム」に勤めていた男性(当時51歳)。97~98年に「金庫から金を盗んだ」「女性にセクハラをした」「盗んだビールを飲んだ」などと書かれた中傷ビラを部下にまかれたり、「奥さんはメガネをかけている」などと家族や本人に危害を与えるかのような発言をされ、男性は会社から事情を聴かれ事実無根と訴えましたが、異動を命じられ、直後の98年4月に自殺したというものです。
遺族が労働基準監督署に労災を申請しましたが、監督署は「業務外」と認定、今回の裁判で「業務上による労働災害」だとの判決が出たものです。
三木のブログでも何回かお伝えしていますが、「労災」に該当するかどうか、という時の判断基準が「職場における心理的負荷評価表」によるものです。3月までは「部下とのトラブル」は3段階のうちで一番負荷が軽い「Ⅰ」でしたが、4月の改定で中程度の強度である「Ⅱ」に変更されました。今回の改定ではパワー・ハラスメントにあたる「ひどいいじめ、嫌がらせ、または暴行を受けた」は一番強い「Ⅲ」として新設されています。

上司から、部下から、同僚からという区別ではなく、誰からもいじめや嫌がらせを受けることなく働くことができる職場環境を作っていかなければならない、というのは言うまでもありません。

まさしくそれがパワー・ハラスメントのない職場環境であり、そういう環境で従業員が安全に安心して働くことができる職場でこそ、生産性をあげていくことにもつながっていくのです。