パワハラ・過労自死のない社会に向けて

3月29日(木)の夜に神戸で開催された「過重労働による自死について考える学習会」に参加しました。「過労死等防止対策推進兵庫センター」の主催で、メディアの関心も高く、複数社が取材に来ていました。

神戸市の老舗製菓会社で勤務していた息子さんが20歳の若さで自ら命を絶ち、現在労災の申請をしている前田和美さんが、過労死・ハラスメントのない社会に向けての対策を切実に訴えられました。

息子の颯人(はやと)さんは、高校を卒業して入社した職場で、長時間労働に加え、厳しいノルマ、そして上司から無視をされたり、連日見せしめのような執拗なパワハラを受けるなどして、出勤途中に電車に身を投げました。颯人さんが会社を辞めたい、と上司に伝えると「辞めたらもうお前の学校(卒業校)から採用しない」と言われ、退職することもできず苦しみました。これは「脅迫」ともいえる言動だと思います。同僚たちの証言があるにもかかわらず、会社は現在も長時間労働もパワハラも認めてはいないのです。

アトリエエムのブックレットvol.4「「働き方改革」で過労死はなくなるか」(中部剛著)には、前田さんの記事も詳しく書かれているので、ぜひご一読ください。

労働者―とりわけ若い人たちがパワハラや長時間労働で命を失うような職場・社会であってはならないと強く思います。

国もなんらかの対策を講じなければ、と昨年から10回にわたって「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を開催してきました。3月30日に報告書が公表されましたが、非常に残念ながら実効的な内容とはなりませんでした。多くの人たちが求めてきた「パワハラ防止のための法制化」ということにはいたらず、今後は労働政策審議会で議論・検討が進められることになりました。

本日4月1日には、新入社員を迎えている職場も多いと思います。法律は制定されていなくても、パワハラ・長時間労働防止の取り組みをぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

アトリエエムは、DVDやブックレットを広げながら、充実したセミナー(研修)を行って「誰もが元気に働き続けられる職場」に向けて、今年度もしっかりと取り組んでいきたいと思います。