「いじめ、パワハラの実態-私たちはどう受け止めるべきか-」

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『月刊労働組合』8月号の特集は「職場から見た日本の民主主義」です。
編集部からの依頼で「いじめ、パワハラの実態-私たちはどう受け止めるべきか-」について原稿を書きました。

兵庫県内のある事業所のパワハラの実態を伝えながら、組織での対応、調査のあり方、予防等について書いています。
さらに、司法の場でのパワハラのとらえ方の違いについて、愛媛県の前田道路の裁判の一審と二審の判決の違いについても解説しています。

一審の松山地裁の判決は「所長として能力がない」「会社を辞めろ」と上司が繰り返し罵倒したことを「パワハラ」であるとして、会社に慰謝料の支払いを命じました。ところが、高松高裁の判決では、「厳しい改善指導は正当な指導の範囲」として、不法行為に当たらないとしました。まさに正反対の判決が出たのです。
今後、司法の場におけるパワハラの認識を妥当なものにしていく働きかけは必要です。
しかし、もっと大切なのが、組織内でいかに適切に対処するかが、労使共に問われている課題なのです。

では、どのように組織内で体制を作っていけばよいのでしょうか。
これに関しては、ぜひ三木の記事をお読みください。

発行元の許諾をいただいて、アトリエエムのHPの「新聞・ミニコミ」のページにアップしています。
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あなたの指導はパワハラになっていませんか

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「パワハラ」と「指導」の違い、いわば「グレーゾーン」に今、多くの人たちが戸惑っています。
広島市のサービス業のある会社で、パワハラの一日セミナー(研修)をさせていただきました。参加者は中間管理職の30人。上司から受ける指導、そして、部下への指導。それは従業員の能力を適正に生かす指導となっているのか、を職場の実態を通して考える、というものです。
午前はハラスメントの基本的講義とロールプレイを使ったセミナー。午後はパネルディスカッションとグループワーク。
職場で実際に起こったできごとを元に、上司と部下とのやりとりを再現したスタンツを見て、グループでディスカッション、全体共有、講評。これをいくつかの事例で考えていきます。
実際に自分たちの職場で起こった事例を考えることで、より身近にパワハラを考えることができ、実効的なセミナー(研修)となりました。
アトリエエムでは、60分のパワハラセミナー(研修)から1日セミナーまで、また、10人から150人まで、と、事業所の実態とニーズに応じた幅広いセミナープログラムをご提案いたします。お気軽にご相談ください。

セクハラ防止のための行動計画

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あなたは、セクハラを防止するには、どのような職場にすればよいと思いますか。
「お互いの人権を尊重できる職場」「風通しの良い職場」「些細なセクハラも許さない職場」etc.
では、「そのために、具体的に何をしますか」ということを考える研修をさせていただきました。

各事業所には、すでに「セクハラ防止指針(ガイドライン)」があることと思います。
2007年に改正された男女雇用機会均等法では「防止規定の作成」は事業主に対する措置義務となっていますから。
では、その指針をより実効的なものとするために、所属長として、自分自身は何を具体的に進めていくのか、取り組んでいくのか、ということを考えて「所属長としての行動指針・行動計画」作り上げていく研修です。

4時間の研修では、セクハラの基礎知識や裁判例を学ぶのはもちろんのこと、実際にセクハラが起こった時の具体的な対応をグループでケーススタディを通して考えました。
講師から一般的な話を一方的に聞くだけの研修ではなく、参加者自らが自分の部署の現状をしっかりととらえて、行動計画を立てるというものです。

今回の研修では、セクハラの本質を正しく理解し、セクハラを起こさせない事をもちろん学んでいただきました。加えて、万一セクハラが発生した時には二次被害等を起こすことなく、適切に対処していくスキルをも学んでいただく事ができました。
アトリエエムのセミナー(研修)はセクハラもパワハラも各事業所のニーズや実態に応じたプログラムをご提供しています。お気軽にご相談ください。
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ニキ・ド・サンファルのナナシリーズ

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友人たちと栃木県那須高原の「ニキ美術館」に行きました。鶯の鳴き声に迎えられて緑の小道を分け入っていくと、そこには別世界が広がっていました。
女性彫刻家「ニキ・ド・サンファル(1930-2002)」の作品が力強く、そして、かわいく迎えてくれました。彼女の作品はとても力強くて明るくそして楽しげで、前から後ろからと眺めていても、飽きることなく、時間が過ぎるのも忘れてしまうほどでした。
なかでも、お気に入りはやっぱり「ナナ」シリーズ。かわいくて、でも力強い表情豊かな「ナナ」たちが今にも駆け出していきそうでした。
ただ、とても残念なのは、8月末で美術館は閉館してしまうとのこと、それまでの間に多くの人に観ていただきたいと思います。
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ニキのはじけるような作品を雑誌の表紙で紹介しているのが、フェミックスが発行している隔月刊誌『We』です。毎号読み応えたっぷりで、お薦めの雑誌です。
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職場の崩壊を招くパワー・ハラスメント

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職場内でパワー・ハラスメントが発生したとき、被害を拡大させるか、食い止めるか、そのカギを握っているのは、まさに従業員一人ひとりです。
ハラスメントを受けて苦しんでいる人が、今、自分の目の前にいる、その時あなたはどうしますか。
「自分が若い時にはもっとひどい言動を受けても耐えていた」「仕事だからしんどいのは当たり前」といった、パワー・ハラスメントを容認して、被害者をさらに苦しめる「二次被害」を起こしていないでしょうか。
その言動は本当にパワハラではなく「指導」といえるものなのでしょうか。同じ言動を受けた時あなたは「愛のムチ」だと上司に感謝できるでしょうか。

パワー・ハラスメントを受けた人は「自分に能力がないからだ」と自分自身を責めたり、食欲や睡眠が十分にとれなくなってメンタル不全に陥ったりします。
あるいは、自分のストレスの矛先をより弱い者へと向けて「ハラスメントの連鎖」を起こす人もいます。

パワハラを放置していると、やがては職場の崩壊へと必ずつながっていきます。経営者はパワハラを「組織の問題」と考えて、対策を考える事が必要です。
従業員が「パワハラと指導の違い」「ハラスメントが発生したときの対応」等を学び職場内で共通認識を持つ事が、パワー・ハラスメントの防止へとつながっていくのです。

アトリエエムでは、各事業所のニーズに応じてセミナー(研修)プログラムをカスタマイズいたします。お気軽にご相談ください。
6月24日の毎日新聞「連載・辞めてくれ 職場のいじめ(下)-パワハラの連鎖 断つ-」でアトリエエムのセミナーが紹介されています。ぜひご覧ください。
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『ハゲタカ』

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「誰かが言った、人生の悲劇は二つしかない。一つは金のない悲劇、そしてもう一つは金のある悲劇」
映画『ハゲタカ』を観ました。NHKドラマの『ハゲタカ』も観ていたのですが、映画には派遣労働者の問題も新たに盛り込まれていて、それはそれで時代を反映した内容にはなっていたのですが・・・何と言ってよいか、面白かったようで面白くなかったようで、面白くなかったようで、面白かったようで、という中途半端な感想を持ちました。
よく言われる言葉に「会社は誰のものか」と言う言葉があります。経営者のものなのか、株主のものなのか、従業員のものなのか云々と。仕組みから言うと株主のものなのでしょうけれど、それを批判するメッセージを発しているのが『ハゲタカ』なのかなと思いました。
私自身は常々会社は従業員のものだと思っています。だからこそ、従業員のモチベーションをいかにしてあげるかを、経営者は考えるべきなのです。それはハラスメントのない労働環境だということはもちろんの事ですが、同時に情報の共有化もあります。
「情報の共有化」というと、すぐに「守秘義務」や「個人情報」と言われます。そんな事は十分わかっています。それはそれで大切な事です。それとは違う意味での本当の「情報の共有化」いわば、「仕事の見える化」が必要なのです。
自分が今している仕事だけを断片的に知るのではなく、組織の中のどこに位置づけられていて、この仕事はどこに向かうのか、顧客にとってどのようなメリットをもたらすのか、ひいては社会にどのような影響を与えるのか、というプロセスを知っている時にこそモチベーションがアップするのです。
「仕事」というのは、当然の事ながら、私は自分自身のためにするものだと思います。が、それが同時に会社に利益をもたらし、社会にも利益をもたらしている、と実感できることが重要です。
あなたの事業所では、情報を的確に与えていますか。情報を与えない、情報が与えられない、というのは大きなパワー・ハラスメントです。
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信頼される相談窓口となっているでしょうか

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2007年4月に改正された「男女雇用機会均等法」は、セクシュアルハラスメントに対する対応を事業主への措置義務としています。9つ定められた指針の一つでは、相談窓口を設置することとなっています。
が、実際には相談員の方から「どのように相談を受けたらよいのかわからない」「セクハラだけでなく、パワハラの相談が増えてきた」「行為者へのヒアリングも相談員が担当するのでしょうか」などのご質問や悩みをよくお聞きします。
相談員が正しいスキルを持って、研さんを積んでいなければ、相談者から信頼を得ることはできず、適正な解決には結びつかず、相談者に対して二次被害を起こしてしまいかねません。
アトリエエムでは、10月6日(火)に、セクハラに加えてパワハラへの対応やロールプレイも含めた「相談員対象セミナー」を実施します。この機会にぜひご参加ください。現在申し込み受付中です。
ホームページのサイトはこちら>>
チラシ及びFAXでのお申込みはこちら>>
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ハラスメント相談員セミナー
「企業の緊急課題であるパワハラ、セクハラへの対応」
●日時:2009年10月6日(火)12:30~16:30
●会場:大阪産業創造館 5F研修室D
大阪市中央区本町1-4-5(地下鉄堺筋本町駅)
<内容>
■1部:【ハラスメントの基礎知識】
どのようなことがハラスメントにあたるのか、その原因、最近の事例や使用者責任を問われた判例等を学びます。
■2部:【ハラスメントの相談における対応】
相談を受ける時の留意点、二次被害、傾聴、行為者へのヒアリング等について学びます。
■3部:【ロールプレイ・実習指導】
相談員、相談者、観察者となっての実習指導。セクハラとパワハラの事例を学びます。
<講師> 三木 啓子 (アトリエエム株式会社代表取締役)
●参加対象:ハラスメント相談窓口担当者
●定員:30人
●参加費:9,000円
(お申し込み後、アトリエエムから参加確認票を送付しますので、それに従って参加費をお振込みください)
●主催:アトリエエム株式会社

男女雇用機会均等法ではセクハラ相談窓口の設置が事業主に義務付けられています。
経済状況が厳しくなる中、相談窓口の存在は重要性を増し、相談員に求められるものもより複雑になってきました。
セクハラはもとよりパワハラなど、ハラスメント全般への対応が求められます。
最近のハラスメントの事例や判例をもとに、相談現場における適切な対処法をロールプレイなどの手法を用いて学びます。

パワハラ等による「心の病」労災が過去最多

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職場でのパワハラやストレスが原因でうつ病などの精神疾患になったとして、2008年度に労災認定を受けた人が269人と過去最多となった、と8日に厚生労働省から発表されました。
また全国の労働局の「労働相談コーナー」にパワハラに関する相談が急増していることも併せて発表されました。
2008年度のパワハラの相談件数は33,242件、6年前の5倍となりました。

セクシュアルハラスメントのように法律がないから、国による定義がないから、「指導とパワハラの線引きが難しい」という声もよく聞きます。
が、考える時の基準は、相手の人格を否定していないかどうか、精神的苦痛を与えていないかどうか、ということが大きなポイントとなります。

「大声で部下を叱る」という行為は決して指導とは言えないでしょう。「何度言ってもわからないから大声で怒鳴るのだ」という声も聞きますが、冷静に静かに言っても部下が理解できないのであれば、大声で言ったからといって、理解できるわけではないのです。上司として業務の説明の仕方、指導の内容等を見直すことが必要でしょう。
また、他の従業員の前で見せしめ的に叱責するのもパワハラです。同様に、ミスをしたことをホワイトボードに名指しで書いたり、回覧することもパワハラです。
部下にとっては「又大声で怒鳴られるのではないだろうか」「又皆の前で叱責をされるのではないだろうか」とうい恐怖心と不安感で仕事を続けることによって、又同じミスをくり返してしまう、という悪循環に陥ってしまいます。
本人にとっては当然ながら、周囲の人にとっても働きにくい職場環境となり、結果的には会社の生産性をさげてしまうだけでしょう。

「指導とパワハラの違い」、これをまず管理職がパワー・ハラスメントセミナー(研修)を通して、しっかり認識し、マネジメントスキルを身に付けていくことが大切です。
アトリエエムでは、職場の実態やご要望に応じたセミナープログラムを準備しています。お気軽にご相談ください。

毎日jpはこちら>>
厚生労働省の発表のサイトはこちら>>

部下からの中傷での自殺は労災

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部下からの中傷が原因で自殺をしたことを「労災」だと認めた判決が出されました。
5月20日、東京地裁での判決です。自殺をしたのは小田急電鉄子会社の飲食店経営会社「小田急レストランシステム」に勤めていた男性(当時51歳)。97~98年に「金庫から金を盗んだ」「女性にセクハラをした」「盗んだビールを飲んだ」などと書かれた中傷ビラを部下にまかれたり、「奥さんはメガネをかけている」などと家族や本人に危害を与えるかのような発言をされ、男性は会社から事情を聴かれ事実無根と訴えましたが、異動を命じられ、直後の98年4月に自殺したというものです。
遺族が労働基準監督署に労災を申請しましたが、監督署は「業務外」と認定、今回の裁判で「業務上による労働災害」だとの判決が出たものです。
三木のブログでも何回かお伝えしていますが、「労災」に該当するかどうか、という時の判断基準が「職場における心理的負荷評価表」によるものです。3月までは「部下とのトラブル」は3段階のうちで一番負荷が軽い「Ⅰ」でしたが、4月の改定で中程度の強度である「Ⅱ」に変更されました。今回の改定ではパワー・ハラスメントにあたる「ひどいいじめ、嫌がらせ、または暴行を受けた」は一番強い「Ⅲ」として新設されています。

上司から、部下から、同僚からという区別ではなく、誰からもいじめや嫌がらせを受けることなく働くことができる職場環境を作っていかなければならない、というのは言うまでもありません。

まさしくそれがパワー・ハラスメントのない職場環境であり、そういう環境で従業員が安全に安心して働くことができる職場でこそ、生産性をあげていくことにもつながっていくのです。

鵜久森写真館Ⅴ 『街路樹』

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笑っている。
叫んでいる。
微笑んでいる。

でも・・・怒っている樹は一つもない・・・ように私には思えました。
42本の樹が力強く、でも、優しく迎えてくれました。

アトリエエムのDVD『パワー・ハラスメント そのときあなたは・・・』の製作をサポートしてくださった「映画製作委員会」の映画プロデューサー・鵜久森典妙さんの写真展を神戸の平野に観に行きました。
写真はもとより、本棚にはたくさんの詩集が並び、いつまでいても飽きないような、とっても素敵な空間が広がっていました。
それもそのはず、「いちばぎゃらりぃ侑香」のオーナー・玉川侑香(たまがわゆか)さんは詩人で朗読家。『詩集 かなしみ祭り』『エッセイと詩 ここは生きるとこや 仮設住宅自治会長 安っさんを追って』など多くの作品を作っておられます。
写真展を観たあとは、有馬街道沿いの祇園神社に。百段近い階段はさすがに堪えたけれども、境内からの眺めは又格別でした。眼下に神戸の街とそして港が広がって・・・。すぐそばには、銭湯の赤い幟旗が何本もはためいていました。
久し振りに体も心もほっこりできたGWの一日でした。
*写真展の様子が5月8日の神戸新聞、5月10日の毎日新聞(神戸版)で紹介されています。

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鵜久森写真館 Ⅴ『街路樹』
月日:5月1日(金)から16日(土)(3日、10日は休み)
時間:11時から18時
場所:いちばぎゃらりぃ侑香(0783615055)
神戸市兵庫区下祇園町26の5 ふかみ商店2F(平野市場内)
アクセス:JR三ノ宮駅より神戸バス7系統乗車、
JR神戸駅より7,9,11系統乗車、
平野市場前バス停下車