モラル・ハラスメント

毎月発行の雑誌『論座』9月号(8月5日発売)に「モラル・ハラスメント」に関する記事が掲載されています。3月5日のブログでもご紹介した、フランスの精神科医・マリ=フランス・イルゴイエンヌさんの講演会の要旨です。彼女はモラル・ハラスメントの指標となる「敵意ある言動」を四つのカテゴリーに分類しています。
1)コミュニケーションを拒否して相手を孤立させ、「一人の人間を透明人間であるかのように感じさせるような言動」
2)仕事に必要な情報を与えない、コンピュータを使えなくするといった「仕事に関して相手を傷つける言動」
3)噂や中傷を流すといった「相手の尊厳を傷つける言動」
4)「言葉による暴力、肉体的な暴力、性的な暴力」
これらの行為が、「職場」という組織内で権力を持つ者(上司)から持たない者(部下)に対して起こった時、まさにそれが「パワー・ハラスメント」といわれるものにもなります。
現在、これらの言動に対する訴訟や労災申請が数多く行われていますが、必ずしも被害者の人権の視点立った判断が下されているとはいえないのが、悲しい現実です。
その事に関して同雑誌で弁護士の川人博さんは次のように述べています。
「日本では経営者だけでなく、厚生労働省や裁判所も、このハラスメントに対する理解がまだまだ不十分であると思う。その結果、多くの人が職場のハラスメントによって傷つき、健康を害し、死に至るケースも少なくない。イルゴイエンヌ氏の講演を学んで、ぜひ日本でも欧州やカナダのように、このハラスメントに対する立法的な規制を実現するような取り組みを強めていきたいと考えている。」
私も全く同感です。最終的には、ハラスメントに対する法制化が必要であると思いますし、同時に、まずは、ハラスメントを起こさないための「予防セミナー」に今後も取り組んでいきたいと思っています。