「セクハラサイコロ」

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埼玉県の男性小学校教諭が「キス」「ハグ」などと書いた「セクハラサイコロ」を作り、児童を指導するために罰ゲームのように使っていた、という事件が報道されました。本当に許せない行為ですが、さらに感じるのが、セクハラ問題に対する学校と社会の認識の軽さと誤りです。
セクハラは、相手の意に反する性的な言動で、大きな人権侵害です。「たかがセクハラ」と軽々しく対応するものでは決してありません。そして、相手がさほど不快には感じていなくても、人権を侵害するような性的な言動はセクハラなのです。
なぜなら、その言動を不快だと感じていても、止めてほしいと思っていても、その意思表示をするのが非常に難しい場合が多いからです。職場での上司からのセクハラもそうですが、小学校の児童にとって「学校の先生」は自分に対して絶大な力を持っている権力者です。その先生に対して、教室で大勢のクラスメイトの中で、一人で「やめてほしい」という声をあげることはとても難しいことです。
そしてもう一つ大切なこと。それは「イヤだと思う自分自身の気持ちを押し込めてしまう」こともある、ということです。「先生がすることだから正しいのだ、イヤだと思う自分が間違えている」と思いこんでしまうことも多いからです。
さらに、学校はこの先生の言動を前任校も含めて5年間にもわたって放置していたということ。これも大きな問題です
今、一番必要な事は、児童たちの心のケアです。
不快だ、という気持ちを押し込めている子ども、自分自身を責めている子ども、信じていた先生や校長先生が謝罪している姿を見てショックを受けている子ども、また、この出来事をどう受けとめていいのかわからない子どももいます。子どもたち一人ひとりに寄り添って、丁寧に気持ちを受け止めること。そして、子どもたちが安心して過ごせる環境を早急に整えることが、今、一番必要な事だと思います。

セクハラを起こさせないようにするのが大切なのは、言うまでもありませんが、起こった後どのように対応するのかも非常に重要な事です。
被害者への対応、行為者への対応、そして再発防止、などの観点から考えていく必要があります。
来年1月25日に実施する「三木啓子のハラスメント相談員セミナー」では、ハラスメントの具体的な対応についてもお伝えします。現在お申し込みを受け付け中です。

「三木啓子のハラスメント相談員セミナー」をご案内している「セミナー」のページはこちら>>>

5年間で変化してきたパワハラ防止取り組みの認識

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2005年10月にアトリエエムを設立してから今までに実施したパワー・ハラスメントセミナー(研修)は約350回。
企業、行政機関、病院、福祉施設、大学、小中高校、NPO、労働組合、市民グループ、市議会議員など職種も事業所規模も千差万別。
形態も数人での学習会もあれば、450人が参加しての大ホールでの講演会もありました。

この5年間で感じるのが、パワー・ハラスメントに対する認識の大きな変化です。
5年前は「パワハラ」という言葉もそれほど広くは知られていませんでした。
現在は、どこの職場でも起こっている「パワハラをいかになくしていくか」そして「予防のためにどんな取り組みをすればよいのか」という事に重点がおかれてきています。

セミナー(研修)を1回するだけではなく、毎年新任管理職に、重役や社長に、非正社員も含めた全社員に実施するなど、繰り返しセミナーを重ねる事業所が増えてきています。
特に人事・総務・CSR担当者などがしっかりと取り組む姿勢を持っている組織は、職場環境が目に見えて大きく変わってきていると感じます。
ハラスメント防止に取り組む過程で、より幅広いテーマでのご依頼も増えてきました。メンタルヘルス、コミュニケーション、ワーク・ライフ・バランス、コーチングなどです。

また、セミナーだけではなく、啓発誌などへの原稿依頼も多くいただくようになりました。
社会全体がパワー・ハラスメントに対する関心が高くなってきていることの表れだと思います。
今までにも『日本紡績月報』『月刊労働組合』などに寄稿しましたが、本日発行の「ひょうご人権ジャーナル きずな」10月号でも「ストップ!パワー・ハラスメント」のテーマで文章を寄せていますので、ぜひご覧ください。

アトリエエムが作成したDVDやポケット冊子『みんな、まじめに楽しく働きたい』も大変好評です。
多くの事業所で研修などで積極的にご活用いただいています。
ポケット冊子は今年の2月に発行以来、半年ですでに2万人の方にお届けしました。

アトリエエムは、これからも皆さんのニーズに応じたハラスメント防止の取り組みをサポートいたします。
ハラスメントに関することは何でもお気軽にお問い合わせください。

最後になりましたが、5年間の皆さまのご支援に心から感謝申しあげます。
と共に、今後とも何卒よろしくお願い申しあげます。

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