厚生労働省から毎年公表されているパワハラの相談等に関するデータが、今年も6月下旬から7月にかけて発表されました。
2020年度の「精神障害等の労災補償状況」では「心の病」で労災と認定されたのは608件で、過去最多となりました。
そのうち「パワハラ」は99件で原因別では最多でした。「いじめ・嫌がらせ・暴行」は71件、「セクハラ」は44件でした。
増加傾向にあることは大きな問題ですが、他にもぜひ注目してほしいことがあります。申請件数2,051件と認定件数のギャップです。
労災を申請するというのは、うつ病などの精神疾患にり患し医療機関を受診している、ということなのです。働き続けることができず、やむなく退職している人も大勢いるのが現状です。
労災ではないということは、プライベートな問題によるということになりますが、その裏には実は職場環境やハラスメントが隠れてはいないでしょうか。
また、全国の労働局の「個別労働紛争解決制度」に寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は79,190件で相変わらず多い状況が続いています。
しかも、2020年6月から大企業に施行されたいわゆる「ハラスメント防止法」(労働施策総合推進法)に則り、大企業のパワハラに関する相談はこの中には含まれていないのです。
労働局に寄せられた相談は、職場内で解決できずにやむなく被害者が相談に訪れたものがほとんどです。他の相談機関を利用したり、誰にも相談できない人もいるので、この数字は氷山の一角でしかありません。
被害者が外部の機関に相談に行く前に、職場内で解決できるのが一番良いのは言うまでもありません。
「対応」と「防止」。これは、ハラスメントの対策で車の両輪のような働きをしていて、どちらも欠かすことができません。
アトリエエムのブックレット「職場のハラスメント 相談対応術」は、発行から改定・増刷を重ねて、このたび2020年度のこれらのデータも入れて、第5版ができました。
ぜひ、ご活用ください。