ハラスメント禁止条約
ILO-初の国際労働ルールを採択

創立100周年を迎えたILO(国際労働機関)の6月21日の総会で、「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約と勧告が圧倒的多数の支持を得て採択されました。ハラスメントに特化した初めての国際労働基準で、とても画期的な条約です。

採択の背景には、セクハラや性暴力を告発する「#Me Too」運動の高まりもあります。女性に限らず、すべての人に対するハラスメントをなくそうと、各国が一致してセクハラ・パワハラ対策の法整備を進めることをめざしたのです。

条約の採択では日本は、政府と連合は賛成、経団連は棄権しました。

条約では、ハラスメントを「身体的、心理的、性的、経済的被害を引き起こす、または引き起こしかねない、様々な受け入れがたい振る舞いや慣行」と定義。
さらに、職場だけでなく、出張先や通勤中、SNSなどでのコミュニケーションなどでも適用されるとしています。
対象者は、正規の従業員のほかインターンやボランティア、それに仕事を探している人も含まれています。
加盟国には暴力・ハラスメントを禁止し、使用者に防止措置を求める法整備や被害者の保護・救済を義務づけています。

ILO加盟国の一員として、日本も条約の早期批准に向けて、禁止規定を含めた国内法のさらなる整備を進めていくことが必要だと思います。

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10月18日(金)のアトリエエムのセミナー「法律の改正に向けて ~ハラスメントの対応と防止対策~」では、2020年4月から施行されるパワハラの防止法などについて、対応と対策について具体的にお伝えします。
ぜひご参加ください。
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パワハラ防止法が成立
企業はより具体的な対応と対策を

職場のハラスメント対策の強化を目的として「女性活躍・ハラスメント規制法」が、5月29日に参議院で可決、成立しました。労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など5つの法律が一括改正されたもので、2020年4月から施行される予定です。
企業には、今まで以上により具体的な対応と対策が求められます。

アトリエエムは、10月18日(金)に「法律の改正に向けて ~ハラスメントの対応と防止対策~」を開催します。
中村衣里弁護士に「法律の改正と指針」について詳しく解説をしていただき、その後三木からハラスメントの対応と防止対策について具体的にお伝えします。
今回の法律改正で皆さんの関心はとても高く、お申込みを多くいただいています。
ぜひ早めにお申込みください。

セミナーのチラシ(お申込書付き)はこちら>>>

三木の見解と法改正の概要は下記です。

【三木の見解】
今回の法改正では「パワハラ行為自体の禁止」は盛り込まれませんでした。よって決して十分な対策ではありません。
しかしながら、何ら法的な対策がなかった現状からは、一歩とまでは言えませんが、半歩前進にはなるのではないかと考えます。

ILO(国際労働機関)は2018年6月の総会で「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約を策定する方針を確認し、2019年の総会で再度議論を行うこととなりました。
条約が採択されれば、ハラスメントに特化した初めての国際労働基準が生まれます。
日本が批准するためには、国内の法律に今回の改正内容だけでなく「ハラスメント行為の禁止」等を盛り込むことが必要です。

【パワハラ】
国、事業主、労働者はパワハラの防止に努めなければならないと法律に明記されました。事業主は研修の実施、被害を受けたと相談した労働者に対して解雇等の不利益な取扱いをしない、労働者は他の労働者に対する言動に注意を払うこと等です。
指針には相談窓口の設置、社員研修で再発防止を図る、加害者の懲戒規定の策定等が想定されています。
附帯決議では、LGBTを初めとするセクシュアルマイノリティの人たちへのハラスメントとアウティングも対象とすることが決定しました。
相談体制の整備など具体的な内容は、今後労働政策審議会で議論し、指針で定められる予定です。

【セクハラ】
国、事業主、労働者はセクハラ、マタハラの防止に努めなければならないと明記されました。被害を受けた労働者に対して、解雇等の不利益な取扱いをしないことも法律で示されました。
自社の社員が他社の社員にセクハラをしたこと、また自社の社員が他社の労働者にセクハ ラをして被害者の事業主から解決に向けた協力を求められた場合は、事業主は応じなければならないとされています。
指針では、就職活動中の学生やフリーランスに対するセクハラ防止も盛り込まれます。

【カスハラ】
顧客や取引先からの悪質なクレーム、いわゆる「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の防止が、附帯決議で指針に明記することとされました。

【女性活躍】
中小企業での女性の登用を進めるために、女性登用の数値目標をつくる対象企業を、現行の従業員301人以上から101人以上に拡大されました。