「セクハラを絶対に許さない」社会へ

「財務省のセクハラ問題」元事務次官の言動と国の対応に怒りを禁じえません。と共に、被害者に対するセカンドハラスメント、バッシングのひどさに、社会の人権意識の低さとセクハラに対する誤った認識を痛感します。

被害を公表されたテレビ朝日の記者の勇気ある言動に心から敬意を表します。だからといって、名乗り出ない人を責めるものでは決してありません。ここは絶対に誤って読みとらないでほしいと思います。

「自分が被害を受けたことをなぜ言えないのか」と発言した人もいました。他にもそのように思っている人もいるかもしれません。
セクハラは、支配-被支配の関係で起こります。相手を見下す、軽くみているからそのような言動が平気でできるのです。自分が尊重、リスペクトしている相手、また自分の上司、あるいは上司の家族ならそのような言動はできないでしょう。
だからこそ被害者は、自分は尊重される存在ではなかった、ということに深く傷つきます。それを公表するというのは、本当に辛いものなのです。

さらにその後のセカンドハラスメントが被害者をより苦しめます。「担当記者を男性に変えたらいい」と発言した人もいました。
なぜ被害者が自分の仕事や人生を変えなければいけないのでしょうか。変えるべきは、セクハラをした人なのは言うまでもありません。働くことは「権利」なのです。性別に限らず被害者から権利を奪うようなことがあってはなりません。
他にも「はめられた」「犯罪」「ハニートラップ」など根拠のない数々のひどいセカンドハラスメントもありました。

財務省は十分な調査もせずに、福田淳一事務次官の辞任を了承、4月27日には本人からの謝罪がないまま「行政の信頼を損ね、国会審議等に混乱をもたらしている」ということで処分を発表して幕引きをはかりました。これらの対応は、国家公務員のセクハラ防止を規定している「人事院規則10-10」にのっとっても全く適切ではありません。

このような事が繰り返されないためには、誰もがセクハラの正しい知識を持つことが必要であり、そのためには繰り返し啓発・研修を行うことです。研修ではどのような言動がセクハラにあたるのか、ということだけではなく、セクハラが相手の尊厳や名誉、性的自由や働く権利を侵害する重大な「人権侵害」であることを認識し、なぜセクハラが起こるのかを一人ひとりが十分に理解することが大切です。

セクハラの防止には、管理職の男女比率や慣習によるジェンダー・ハラスメント(男女差別)が放置されていないかなどの見直しも必要です。従来の男性主導の仕事の進め方、性別役割分業意識やそれにもとづく組織の在り方の抜本的な見直しも含めてです。

自分がセクハラをしない、受けない、だけでなく「セクハラを許さない」職場、社会にすることが今こそ私たち一人ひとりに求められていると思います。

<<アトリエエムのセクハラ防止5カ条>>
1、 ビジネスとプライベートのけじめをつける
2、 アフターファイブも仕事の一部と考える
3、 性別ではなく、個人の仕事の技能と適正を生かす
4、 雇用形態にかかわらず、全員で取り組んでいく
5、 セクハラ防止がパワハラ防止へとつながる

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今、複数のメディアから取材を受けています。掲載後にアトリエエムのHPの「メディア」のサイトにアップします。
そのうちの一つ、NHKのwebニュースはこちらです。ご覧ください。(NHK NEWS WEB → News Up)

「『働き方改革』で過労死はなくなるか」
著者 中部剛氏がラジオ関西に出演

4月27日、主要野党が欠席する中「働き方改革関連法案」が衆議院本会議で審議入りしました。労働者にとって、これらの法律が本当に良い「改革」となるのでしょうか。私たち一人ひとりがこの法案について、しっかりと精査し考えていくことが今こそ重要だと思います。

ブックレット「『働き方改革』で過労死はなくなるか~労働現場の取材から~」の著者 中部剛氏(神戸新聞社記者)が4月30日(月・祝)の午前8時頃にラジオ関西に出演します。
現在国会で議論されている「働き方改革」「高度プロフェッショナル制度」などについて話します。ぜひお聴きください。

<ラジオ関西>
2018年4月30日(月・祝)「三上公也の情報アサイチ!」
*午前8時過ぎ位からの出演予定
「ニュース深堀り~働き方改革法案とは」

radiko.jpのサイトでは、リアルタイム並びに過去1週間の番組を聴くことができます。
*特別番組の放送や放送休止のため、番組を変更になる場合がありますので、その折にはご了承ください。

★ブックレット「『働き方改革』で過労死はなくなるか~労働現場の取材から~」のチラシ並びに詳細はこちらをご覧ください。

「あとらんだむ」鵜久森典妙 写真展
神戸の「いちばぎゃらりぃ侑香」で5月11日(金)まで

ド迫力の写真と出会いました!

映画プロデューサー・鵜久森典妙さんの写真展が今年もスタートしました。14回目の個展です。

「あとらんだむ」のタイトルに象徴されるように、写真の一つひとつがとても魅力的で、「日常と異次元」との不思議な世界にいざなってくれます。

素晴らしい写真展をぜひお楽しみください。

*5月1日の神戸新聞で写真展が紹介されました。
*記事(jpg)はこちら>>>

*記事(pdf)はこちら>>>180501-鵜久森写真展-神戸新聞-2

*5月6日(日)には、活動弁士・井上陽一さんによる「活弁ライブ」が開催されます。
1928年(昭和3年)の無声映画「風雲城史」を井上さんの名調子でぜひお楽しみください!①11:00~  ②13:30~
*必ず事前にご予約ください。

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鵜久森 典妙 写真展 第14回 「あとらんだむ」
【とき】 4月28日(土)~5月11日(金) 11時~18時
【ところ】 いちばぎゃらりぃ侑香 (TEL:078-361-5055)
 神戸市兵庫区神田町38-22
【アクセス】 JR三ノ宮駅より神戸市バス7系統乗車
 JR神戸駅より7、9、110系統乗車 「平野市場前」バス停下車(バス道東へ100m)

パワハラ・過労自死のない社会に向けて

3月29日(木)の夜に神戸で開催された「過重労働による自死について考える学習会」に参加しました。「過労死等防止対策推進兵庫センター」の主催で、メディアの関心も高く、複数社が取材に来ていました。

神戸市の老舗製菓会社で勤務していた息子さんが20歳の若さで自ら命を絶ち、現在労災の申請をしている前田和美さんが、過労死・ハラスメントのない社会に向けての対策を切実に訴えられました。

息子の颯人(はやと)さんは、高校を卒業して入社した職場で、長時間労働に加え、厳しいノルマ、そして上司から無視をされたり、連日見せしめのような執拗なパワハラを受けるなどして、出勤途中に電車に身を投げました。颯人さんが会社を辞めたい、と上司に伝えると「辞めたらもうお前の学校(卒業校)から採用しない」と言われ、退職することもできず苦しみました。これは「脅迫」ともいえる言動だと思います。同僚たちの証言があるにもかかわらず、会社は現在も長時間労働もパワハラも認めてはいないのです。

アトリエエムのブックレットvol.4「「働き方改革」で過労死はなくなるか」(中部剛著)には、前田さんの記事も詳しく書かれているので、ぜひご一読ください。

労働者―とりわけ若い人たちがパワハラや長時間労働で命を失うような職場・社会であってはならないと強く思います。

国もなんらかの対策を講じなければ、と昨年から10回にわたって「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を開催してきました。3月30日に報告書が公表されましたが、非常に残念ながら実効的な内容とはなりませんでした。多くの人たちが求めてきた「パワハラ防止のための法制化」ということにはいたらず、今後は労働政策審議会で議論・検討が進められることになりました。

本日4月1日には、新入社員を迎えている職場も多いと思います。法律は制定されていなくても、パワハラ・長時間労働防止の取り組みをぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

アトリエエムは、DVDやブックレットを広げながら、充実したセミナー(研修)を行って「誰もが元気に働き続けられる職場」に向けて、今年度もしっかりと取り組んでいきたいと思います。