「票ハラ」防止条例
福岡県で可決・成立

2022年6月22日に公示された参議院選挙。
今回は、181人の女性が立候補し、全候補者数(545人)に占める女性の割合が33.2%となり、過去最高を記録しました。

しかし、国が2020年に閣議決定した「男女共同参画基本計画」で設定した「2025年までに国政選挙の候補者に占める女性割合を35%」とする数値には届きませんでした。
しかも、政党によって大きなバラつきがあり、共産党は55・2%、立憲民主党は51・0%、社民党は41・7%に対して、自民党は23・2%、公明党は20・8%でした。

さらに、女性候補者を悩ませているのが(女性だけではありませんが)「票ハラ」とも呼ばれている有権者や他の議員からのハラスメントです。

国の調査によると、選挙への立候補を検討したが断念した994人(男性500人、女性494人)のうち、全体の61.8%が有権者や支持者、または議員から「何らかのハラスメントを受けた」と回答しています。
地方議員5,513人(男性3,234人、女性2,164人)を対象にした調査でも、全体の42.3%がハラスメントの被害があったと答えています。
男性(32.5%)よりも女性(57.6%)の方が比率が高く、女性が被害に遭いやすいのが実態です。

内閣府男女共同参画局は、「政治分野におけるハラスメント防止研修教材」(動画)を2022年4月にHPにアップして、実際の事例を交えて啓発を行っています。

また、福岡県では「議会関係ハラスメントを根絶するための条例」が6月21日に可決・成立しました。
来年2023年4月からの施行です。
被害を受けた時に、相談ができる窓口の設置や調査などが盛り込まれています。
窓口では、県議会議員だけでなく、その秘書や家族、それに、有権者からの「票ハラスメント」などを受けた候補者や、県内の市町村議会の議員からの相談にも応じるとなっています。
これは都道府県では初めての条例となりました。

福岡県の条例が実効あるものとなり、今後さらに多くの自治体が続くことを願っています。

もちろん、私達一人ひとりが「票ハラ」の行為者(加害者)とならないようにしなければならないのは言うまでもありません。

フリーランスへのセクハラ、パワハラ
会社に「安全配慮義務違反」の判決

東京地裁は、5月25日にフリーランスの女性に対するセクハラ、パワハラに対して、会社に対して「安全配慮義務違反」として慰謝料の支払いを命じました。

2019年6月に公布された「労働施策総合推進法」等では、フリーランスや就活中の学生に対するセクハラの防止が事業主の措置義務とはなりませんでした。
しかし、会社の安全配慮義務違反を認めたという点では、非常に画期的といえるでしょう。

2019年の調査では、フリーランスで働く人たちのうち、約6割がパワハラ、約4割がセクハラを受けているという実態も明らかになりました。
フリーランスというとデザイナーやライター、講師、俳優など特殊な仕事をイメージするかもしれませんが、会社に勤めながら、副業としてフリーランス(非雇用)で働く人も今増えています。
被害にあっても、誰にも相談できず、苦しんでいる人が多いのです。

どのような就業形態で働いているかにかかわりなく全ての働く人へのハラスメント防止、被害者への救済に対する法整備を早急に行う必要があると思います。