大坂なおみ選手が全米オープンで2度目の優勝を果たしました。その快挙に大きな拍手を送りたいと思います。
同時に、7枚の黒いマスクで抗議を続けたその行動にも心からの敬意を表したいと思います。
優勝後にマスクに込めたメッセージを問われた大坂選手は、こう返しました。
「あなたがどんなメッセージを受け取ったのか。それの方が大事です」と。
大坂選手はこのようにも発言しています。「レイシスト(人種差別主義者)ではないというだけでは十分ではない。私たちは反レイシストにならねばならない」。
とても重い言葉です。
現在起きている黒人への差別問題、警察官による虐待問題は、決してアメリカだけの問題ではないと思います。
日本でも特定の人種、民族、国籍の人たちへのヘイトスピーチや差別が相変わらず続いています。
どのような行動を起こすのか。
今、私たち一人ひとりに問われている問題だと思います。
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■大坂なおみ選手がつけたマスクに記された犠牲者たち(カッコ内は死亡時の年齢)
●1回戦 BREONNA TAYLOR(ブレオナ・テイラー)(26歳)
2020年3月13日、救急救命士のブリアンナ・テイラーさんと、その交際相手が寝ている際に警察が踏み込み、テイラーさんに8回発砲。その後住所が間違っていたことが判明。
●2回戦 ELIJAH MCCLAIN(イラジャ・マクレーン)(23歳)
2019年8月24日、イライジャ・マクレーンさんは、不審者がいるとの匿名通報から突如警察官に拘束され、押さえつけられ圧迫気絶、更には鎮静剤ケタミンを注射され、心不全を起こし数日後に亡くなる。拘束された理由は、手配中の「不審人物」に外見が似ていたから。
●3回戦 AHMAUD ARBERY(アマド・オーブリー)(25歳)
2020年2月23日、ジョギングをしていたアマド・オーブリーさんは、白人の親子ら3人にピックアップトラック(軽トラ)で追い回されたのち、銃で射殺される。その際に白人親子らは人種差別的な発言をしており、その動画がネット上にあがりさらに大問題となる。6月になってから容疑者を起訴。
●4回戦 TRAYVON MARTIN(トレイボン・マーティン)(17歳)
2012年2月26日、トレイボン・マーティンさんは、白人で自警団に所属する男性に胸を撃たれて死亡。理由は、マーティンさんが挙動不審だったために尾行し、言い争いになった為射殺。容疑者は裁判で正当防衛ということで無罪が言い渡された。
●準々決勝 GEORGE FLOYD(ジョージ・フロイド)(46歳)
2020年5月25日、偽ドル札の使用容疑により手錠をかけられたジョージ・フロイドさんが、呼吸ができない、助けてくれ、と懇願していたにも関わらず、8分46秒間、頸部を膝で強く押さえつけ死亡させた。その時間の中で、フロイドさんの反応が見られなくなった後の2分53秒間においても警察官は頸部を膝で押さえつけていた。
●準決勝 PHILANDO CASTILE(フィランド・カスティール)(32歳)
2016年7月6日、フィランド・カスティールさんは、車のバックライトが消灯していた理由で警察に呼び止められた。職務質問に応じたカスティールさんは、認可を得て銃を所持していることを告げて、免許書を提示しようとして撃たれた。警察官は無罪に。
●決勝 TAMIR RICE(タミル・ライス)(12歳)
2014年11月22日、タミル・ライスさんは、市内の公園でおもちゃの銃で遊んでいた。通報を受けた警察官から撃たれる。のちに亡くなり、警察官は不起訴に。