「高プロ制度」来年4月から施行
過労死・パワハラを助長

182日間にわたって開かれた通常国会が、7月22日(日)に閉会しました。
今回も多くの法律が成立しました。

8本の法律を一括審議した「働き方改革関連法」も成立しました。
「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」は数多くの問題を抱えたまま来年、2019年4月1日から始まることになります。制度の詳細は今後、厚労省の労働政策審議会で議論され、国会審議が不要な省令で定められます。

「過労死を助長する」と過労死家族の会をはじめ各団体や専門家が強く反対してきましたが、聞き入れられませんでした。

高プロは「成果で評価する制度」と一部のメディアでは報じられましたが、「成果に見合った賃金」等の文言は法律には一切書かれていません。
会社は、適用された働き手の労働時間を把握する義務がなくなり、深夜・休日労働の割増賃金も払う必要がなくなります。
いわば「労働者を労働時間の保護から完全に外す」制度です。

2017年度に全国の労働局に寄せられた「職場のいじめ・嫌がらせ」パワハラの相談は、72,067件。これは過去最多で、しかも毎年増え続けています。
うつ病などの「心の病」を患い労災と認定された人も、2017年度には506人で、こちらも過去最多です。
過労死や過労自殺(未遂を含む)で労災認定された人は190人。
前年度とほぼ同じで一向に減少の兆しはみえません。
これらは「労災」と認定された人の数ですから氷山の一角でしかありません。

現在でも「過労死大国」といわれる日本で、労働時間規制を取り払えばさらに過労死やパワハラが増加することは明らかです。
しかも労働時間の把握ができないのですから「過労」ということが証明できず労災の請求すらできなくなります。

「働き方改革」とは労働者の健康や暮らしを守るための改革であるべきです。
それに逆行する制度の成立を非常に遺憾に思います。