謹賀新年

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明けましておめでとうございます。
旧年中は色々とお世話になりまして、本当にありがとうございました。
「ハラスメントのない豊かな職場環境づくりのサポート」をテーマに、今年もニーズに応じた多様なプログラムをご提供していきます。
本年も何卒よろしくお願い申しあげます。
昨年は、仕事の合間をぬって演劇やダンス、落語、美術展、ジョギングなども楽しみました。
様々な文化に触れることによって、心も体もリフレッシュでき、より一層仕事に集中して取り組むことができるように思います。

映画はドキュメンタリーも含めて、新旧併せて30本ほど観ました。
その中でも特に印象に残ったのが、次の5本です。
◇「木漏れ日の家で」/監督:ドロタ・ケンジェルザヴスカ(ポーランド)
◇「ウィンターズ・ボーン」/監督:デブラ・グラニック(アメリカ)
◇「わたしを離さないで」/監督:マーク・ロマネク(イギリス)
◇「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」/監督:ルネ・フェレ(フランス)
◇「無言歌」/監督:ワン・ビン(香港・フランス・ベルギー合作)

無題

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2011年が間もなく過ぎ去ろうとしています。
今年は、大地震、津波、原発事故と本当に大変な、悲しい年でした。
今なお大勢の人たちが不安で辛い日々を過ごしておられることに、胸が痛みます。
同時に、大きな怒りと憤りを感じます。
復興は遅々として進まず、政治は空転し、メディアは本当に大事な事は伝えず、そして、危険な原発を今なお稼働させていることに。
私たちは、次の世代にどんな世界を手渡そうとしているのでしょうか。
遅まきながら今こそ、しっかりと考えなければならないと思います。

パワハラの予防には研修とガイドラインの制定が重要

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厚生労働省から「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議 ワーキング・グループ」の報告書(案)が発表されました。
職場でのいじめやパワー・ハラスメントの実態を認識して、予防・解決のためには、行政機関と各職場での取り組みが必要である、と遅まきながら国もようやく動きだしというところです。
予防のためには「ガイドラインの作成、実態の把握、研修」などが必要である、と提案しています。
これらについては、私は以前からより具体的に提唱してきました。そして、さらに重要な事は「セカンドハラスメント(二次被害)の防止」も盛り込んでいくことだと。

日本ではやっと動き出したパワー・ハラスメントへの対応ですが、海外では法律でしっかりと規制している国も数多くあります。
先日開催された講演会で、海外-とりわけEU諸国の最新の状況を滋賀大学の大和田敢太教授からお聴きしました。
ベルギーでは、単独法として、暴力、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメントを規制しています。顧客など職場の外部からの暴力に対しても会社は対応をしなければならないとも定められています。
まさに日本とは雲泥の差です。

1月27日(金)の「三木啓子のハラスメント相談員セミナーvol.5」では、海外や日本の動きも視野に入れながら、職場でパワー・ハラスメント防止をどのように進めていけばよいのかということも具体的にお伝えします。
定員まであとわずか。お申込みはお早目にどうぞ。
「三木啓子のハラスメント相談員セミナーvol.5」はこちら>>>

「合意」は教員と学生間では成立しない

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「納得いかない。合意だった」と容疑を否認している内柴正人容疑者。
九州看護福祉大学の柔道部の遠征で、女性部員に対する準強姦の疑いで逮捕された内柴容疑者のこの言葉に、強い憤りを感じます。

そもそも、教員と学生、コーチと選手の間で「対等な関係」はありえないのです。圧倒的な力の差があるのですから。「対等な関係」でなければ「合意」も成立しません。それは相手が成人、未成年に関わらず、また、飲酒をしている、いないにも関わらず、です。
また大学は、この事件以前に色々な噂や兆候があったにも関わらず、適切な対応がとれていなかった、という事も大きな問題です。
今大学が総力をあげて取り組まなければならないのは、被害者の保護です。被害を受けた女子学生の苦しみを考えると胸が痛みます。
ハラスメントをきちんと認識している専門家が、被害者を常時サポートできるように体制を整えることが大切です。
今後、裁判や証言などでセカンドハラスメント(二次被害)を受けないか、ということも心配です。メディアも含めた大学内外の噂や中傷からも、被害者を絶対に守らなければなりません。

大学は、今回の事件がたまたま起こったのではなく、大学にそのような体質が以前からあったのだという事を真摯に受け止めなければならないと思います。
そして、再発防止に努めなければならないのは言うまでもありません。

より深刻な教員から学生へのセクハラ、アカハラ

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教育機関(大学・小中高校等)からのハラスメントセミナーの依頼が増えています。
全国各地で、教員の処分が連日のように報道されています。教員間のハラスメントももちろん大きな問題ですが、より深刻なのが、教員から学生・生徒・児童へのハラスメント-セクハラ、アカハラです。
「『「イヤだったら、イヤと言っていいよ』」と言ったけれど、「『イヤ』」だと言わなかったから不快に感じているとは思わなかった。コミュニケーションのつもりだった」と泰然と言う教員。そもそも、生徒達が教員に対して、不快だという意思表示ができるわけがない、と思うべきです。圧倒的な「力」の差があるのですから。またそのようにことわらなければならない言動自体が「コミュニケーション」とは言えるものではない、ということも認識する必要があります。教員は、自分の「力」にあまりにも無自覚であると言えます。
大学や教育委員会は、教員に対して、パンフレットを配布して終わり、ではなく今こそハラスメント防止に対してしっかりと取り組むことが必要です。まずは、実効的なハラスメント防止セミナー(研修)に全教員が参加することから始まります。ハラスメントに対して認識の甘い教員ほど、「自分は大丈夫」とたかをくくってセミナーには参加しないのですから。
先日11月18日(金)には、静岡県で全県立高校のハラスメント相談員(教員)を対象にしたセミナーをロールプレイも交えて行いました。その模様が、新聞やテレビなどで報じられています。
11月19日(土)の静岡新聞はこちら>>>
その他のメディアはこちら>>>

「モンスター上司」

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「パワハラ、セクハラ、バカハラ~立ち上がれ、世界中の部下よ!~」のチラシの言葉に誘われてアメリカ映画「モンスター上司」(監督/セス・ゴードン)を観に行きました。
本来ならそんなひどい上司にはさっさと見切りをつけて、転職をしたい3人でしたが、リーマンショックで不景気な世の中、転職もままならずやむを得ず見つけた解決策は、上司を抹殺してしまうこと。
あまにりもドタバタコメディすぎてちょっと残念、というのが正直な感想です。

もう一つのアメリカ映画は「ウィンターズ・ボーン(WINTER’S BONE)」(監督/デブラ・グラニック)。
ミズーリ州の田舎で暮らす17歳の少女・リーの生活とあり様が、丁寧に描かれていてとても良かった。
幼い弟と妹、病気の母との貧しい貧しい生活。村には仕事もなく、お金を得るためにやむなく軍隊に入ろうとさえ考えるリー。

どちらの映画にも共通しているのが、ドラッグ、暴力、銃、そしてハラスメントが生活のごく身近にあるということ。
一部の富める人と大勢の貧しい人々の生活。
アメリカの現状が描かれているのだと思いました。

青鞜から100年、世界で98位

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「原始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。」と平塚らいてう(らいちょう)が「青鞜(せいとう)」を創刊したのが100年前の1911年9月。
リバティおおさか(大阪人権博物館)で開催されている「モダンガールズ 青鞜の時代」展を私が訪れたのは10月30日、大阪マラソンの日でした。
沿道では大勢の人がランナーに声援を送っていましたが、それにひきかえ青鞜展の会場はひっそりとしていたのが、とても残念でした。

自分の意見を言う、という基本的な「人」としての権利が女性には全く認められていなかった時代に、自分の意見をしっかりと主張し、母性保護や経済的自立について論争をした平塚らいてうや与謝野晶子、山川菊栄たち。
その論争が全く色褪せることがないほど、100年経っても日本の社会は変わっていないように思います。
法的には整備されてきた部分もありますが、実際には多くの女性たちが仕事と育児のはざ間で悩み、ハラスメントやDVで苦しんでいます。

11月1日に世界経済フォーラムが発表した「男女格差報告」では、日本は135カ国中、98位、昨年よりもさらに悪くなっているというお粗末な現状。
女性、男性という性別で分けるのではなく、誰もが「人」としての権利が守られる社会であるべきだと思うのです。

「同僚とのトラブル」は心理的負荷の強度が「中」に

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厚生労働省では1年間にわたって「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」を開催してきました。10月21日(金)の第10回検討会では、発症のきっかけとなった具体的な事例を盛り込んで、基準を明確化するように求める報告書をまとめました。今年度内に新基準を実施する方針です。
ハラスメントに関する項目では、「対人関係のトラブル」の類型の中で「同僚とのトラブルがあった」が心理的負荷の強度が「弱」から「中」に引き上げられました。
また、セクシュアルハラスメントは、「対人関係のトラブル」から独立した項目として、段階ごとに負荷の内容を例示しています。
内容的にはまだまだ不十分な部分が数多くありますが、労災認定の審査期間を短縮するなども含めて、若干の改善ではあるかとも思います。
さらに、長時間労働について初めて具体的な時間数を示しています。1か月に80時間以上の時間外労働は心理的負荷を「中」、160時間以上を「強」とするなどです。
そもそも4週間の法定労働時間が概ね160時間ですから、それに加えて160時間の時間外労働など、決してあってはならない数字とも言えます。長時間労働の背景には、必ずと言っていいほど、パワハラも存在しているのです。
またここでしっかりと考えておかなければならないのが、いずれもうつ病などの「精神障害」を発病したことに対しての基準だということです。
どの職場においても、誰もが健康に働くためには、まずはハラスメントのない職場環境が重要である、というのは言うまでもありません。
そのためには、従業員に対するハラスメント防止セミナー(研修)が必要なのです。

ハラスメントについては、アトリエエムにお気軽にご相談ください。
ハラスメント防止セミナー(団体研修)はこちら>>>
「三木啓子のハラスメント相談員セミナーvol.5」はこちら>>>
厚生労働省の専門検討会の報告書はこちら>>>

「国によるハラスメント」 強制隔離・強制堕胎

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玉城しげさんのお話しを、兵庫県の尼崎市内でお聴きしました。
玉城さんは93歳、ハンセン病の元患者で、鹿児島県の国立療養所星塚敬愛園で暮らしています。
20歳の時に突然、療養所に強制的に隔離されました。

そこは、療養所とは名ばかりで、玉城さんたちは「座敷豚」と呼ばれ、ほとんど治療も受けることなく重労働を強いられ、病状はますます悪化。
しきりもカーテンも何もない12畳の部屋で、夫婦4組が共に暮らす異様な生活。
子どもを産むことは許されず、男性は断種手術、女性は強制堕胎。
療養所での生活は信じられないような、本当に酷い非人間的なものでした。

玉城さんは、妊娠7か月で強制堕胎をさせられました。数日後対面した我が子は、瓶の中でホルマリンに漬けられていたのです。
車椅子から立ち上がり、振り絞るように話される玉城さんの声には、怒りと悲しみが込められていました。
こんな酷いことが、国の政策として合法的に歴然と行われてきていたのです。まさに「国によるハラスメント」ともいえるでしょう。
治療ではなく、「終生絶対隔離(絶滅政策)」という政策の根拠となる「らい予防法」が廃止されたのは、わずか数年前、1996年のことです。
法律の廃止後も、差別や偏見によって、元患者の方たちは様々な迫害を受けています。

差別や偏見を生み出してきた根底にあるのが、法律であり、国策だったということを私たちは今こそしっかりと考えなければならないと思います。
決して過去の話ではないのです。

「いじめの円卓会議」実効的な提言を

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昨年度、全国の労働局には4万件もの「職場でのいじめや嫌がらせ、パワハラ」の相談が寄せられました。相談件数の増加やパワハラに対する社会的な関心の高まりを受けて、厚生労働省では、専門家による「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を7月8日(金)に立ち上げました。まずは、いじめの実態把握と定義を定めることを目的として、提言をまとめる予定です。
「円卓会議」の下に「ワーキング・グループ」を設置して、提言に向けた論点整理など、必要な作業を行うことになりました。1回目の会議が開かれたのは、円卓会議直後の7月11日(月)でした。
ワーキング・グループの会議は、一部の資料は開示されていますが、傍聴ができない「非公開」となっています。例えば、被害者のプライバシーに関することなどが話し合われる場合などには、その時のみ非公開ということも必要だとは思います。
しかしながら、そうでなければこのような会議は原則「公開」とするべきだと思います。

一部の企業の事だけでなく、様々な職場での実態を正しく把握して、しっかりと議論し、実効的な提言がなされることが重要です。
海外では、いじめの国際会議の開催や、フランスやベルギーのように、職場のいじめを規制する法律を制定するなどの取り組みがなされています。日本でも早急に、パワハラ防止の法整備への取り組みを進めなければなりません。
各企業(事業所)では、国の提言を待つまでもなく、セミナー(研修)をしっかりと行い、ガイドラインの制定や相談窓口の整備などの取り組みを迅速に進めていくことが必要でしょう。
上記の会議の議事録等は、厚生労働省のHPにアップされていますが、とてもわかりにくいです。ページへのアクセスは下記のとおりです。
厚生労働省のHP
→「厚生労働省からのご案内」の「政策について」の「審議会・研究会等」
→「上記以外の検討会、研究会等」の「労働基準局」
→1番下の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」並びに「「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」

円卓会議のページはこちら>>>